日本財団みらいの福祉建築プロジェクト2021選定プロジェクトです。
敷地内にある納屋や基礎跡を資源として改修しホースガーデン、アトリエ、納屋兼ショップ、野外ダイニングとして使用する建築計画です。
福祉用途とは異なる活動を敷地内で行うことで、地域に開かれた社会的資源として考えられています。
中心となるレンガの家は既存棟を一部減築した上でレンガの外観を残しながら増築し、その2棟を大きな屋根とレンガの縁側という中間領域でつないでいます。
この建築計画に対してRC造と木造を併用する構造としました。
1階では既存外壁レンガをRC造の耐力壁と臥梁で包むようにして地震の揺れに対して外壁レンガを補強するようにしています。積雪量を軽減することができる勾配屋根とするとともに2階を木造とすることで軽量化。重量を軽減することで生じる地震力を小さくして耐震性能を向上させています。
屋根の登り梁は隙間をあけて二丁並べ、隙間に中間材を設けています。二丁の登り梁は積雪重量に抵抗し、隙間に設けた中間部材はレベルを少し高くして構造用合板と接続しています。下から見上げると二丁の登り梁が中間部材の幅だけ離れて見え、幾何学的に強調されたデザインとして意匠と構造が調和するように計画しています。
木造の筋交い、RC造の壁が耐震要素として機能する計画とし、各耐震要素の強さや硬さのバランスを評価するために有限要素解析を実施して耐震性能を評価しています。
計画地周辺で親しまれているレンガ壁を残しながら温かみのある木造空間を実現するために、現代技術と工夫したディテールを取り入れた建築物です。
意匠設計:トコト一級建築士事務所、KSA
構造設計:楠本玄英構造設計事務所
延床面積:約330㎡
階数:2F
構造:壁式RC造/木造
写真:©佐々木育弥
構造計画上の特徴
地域の象徴と温かい空間を実現する併用構造/分棟を包む木造大屋根/積雪量を低減する勾配屋根/既存外壁レンガを補強するRC高耐力壁と臥梁/改良型二丁並列登り梁/温かみのある木造架構空間/一貫した構造設計思想とする複数棟同時検討/任意形状の耐震性能を評価する有限要素立体解析