八百万の杖【茗溪学園 トレーニング・部室棟】

中高一貫校のトレーニング施設の計画です。

大空間、コスト合理化、学生のアクティビティについて配慮する構造計画が要求されました。
古事記に伝わるイザナミとイザナギを祀る双耳峰筑波山の近くに学園があることから、イザナミとイザナギから生まれた八百万の神ような構造躯体をと願い考案した架構、「八百万の杖」。

方杖が群がることで学園のイニシャルMと小さな双耳峰形状が多数内在するデザインコードとしています。学園の繁栄を願い、多種多様な神である八百万の神を表現するとともに、圧縮と引張の力学合理性取り入れて光と視線が通るロングスパン空間を実現しています。

構造解析データを3DCADデータに変換し、ビジュアライズした構造パースを弊社で作成してクライアントに提示しました。新しい組み方をした柱上の集中斜材によって、梁上の空間が開放されるイメージを共有することができました。

建築主:学校法人茗溪学園
意匠設計:一級建築士事務所あとりえ
意匠協力:Atelier Aww
構造設計:楠本玄英構造設計事務所
延床面積:588㎡
階数:2F
構造:木造

構造計画上の特徴
集中斜材を利用した在来軸組工法/視線と光を通す小屋裏/ロングスパン木造/建方作業を考慮した鋼板挿入ボルト接合とホゾ接合/構造パースペクティブによるイメージ共有/任意形状立体解析

Rigid walls & Wooden roof Ⅱ鉄筋コンクリート造と木造の建築物】

鉄筋コンクリートと木材で構成された2階建ての住宅です。

壁式鉄筋コンクリート造の強さと軽量な木質構造屋根により耐震性に配慮しながら温かみのある空間とした計画です。

意匠設計事務所の提案である木造の柔らかさとコンクリートの硬さを生かす構造体について有限要素解析で評価し、地震時の挙動をもとに鉄筋コンクリート壁を適切に配置し意匠計画と調和する構造計画が実現したプロジェクトです。

意匠設計:井上洋介建築研究所
構造設計:楠本玄英構造設計事務所
延床面積:199㎡
階数:2F
構造:壁式RC造/木造

住宅建築2024年4月号No.504

構造計画上の特徴
人の営みに配慮した混構造/屋根軽量化による耐震性能向上/RC高耐力壁/異種構造を接合するディテール/任意形状立体解析

もたれかけ安定架構による円盤積層構造【ohagi3 FLAGCAFE SAKAE】

「”円”で囲まれたおはぎ空間をつくる」というテーマの店舗デザインプロジェクトです。

円盤に切り欠きを設けたモジュール化された部材を嵌合接合で組むという意匠設計からの提案に対して構造計画上のアドバイスをしました。一枚の円盤だけでは不安定構造となってしまうため互いに寄りかかることで安定性を確保しています。

店舗外周のオブジェ、ガラス机の支持材に円盤積層構造を採用しています。構造解析結果をビジュアライズし、動画イメージを共有したプロジェクトです。

意匠設計:KAMIYA ARCHITECTS / Youtube
構造協力:楠本玄英構造設計事務所
店舗床面積:150㎡

構造計画上の特徴
円盤積層構造/もたれかけ安定架構/任意形状立体解析

Photo Takumi Ota

実用的構造耐力試験Curiosity Go Round】

「保有している蔵書をすべて本棚にいれ、その中に入れるようにしてアイデアを練る場所にしたい」という本棚の計画について構造耐力上のアドバイスをしました。

意匠設計が作成した3DCADデータをもとに構造解析を行い、既存建物に作用する荷重を評価しています。棚の強度については接合ビスが大きく影響するため、実用的な接合試験を行い耐力の評価を行っています。

依頼主: Creative Project Base
計画:早稲田大学小林研究室 / NoRA
構造協力:楠本玄英構造設計事務所
用途:本棚

構造計画上の特徴
実用的な接合部耐力試験/任意形状立体解析

意匠計画に配慮した耐力壁と斜め柱事務所と住宅を有する建築物】

1階を事務所とし、2~3階を共同住宅とした木造在来軸組工法の計画です。

エントランス部に斜め柱を設け安定化をはかることで、1階より大きな平面を有する2~3階の平面計画を実現しています。

建物中央に光を取り込む中庭を有します。耐力壁が光を極力遮らないように計画し、住まう人のアクティビティに配慮しています。

駐車場部分では耐力壁を配置できるスペースが少ない計画でした。釘本数を増やした高耐力壁を複数並列して並べる計画とすることで、駐車場の面積を極力大きく利用できるように配慮しています。

構造耐力上の分析手法としては三次元立体解析による応力解析を採用しました。耐力壁と床の硬さを評価するために有限要素である板要素を採用し、構造耐力上問題ないことを確認しています。

意匠設計:ツズキオフィス
構造設計:楠本玄英構造設計事務所
延床面積:384㎡
階数:3F
構造:木造

構造計画上の特徴
高耐力壁による構造部材省スペース化/高層部を広げる斜め柱/光と視線を通す耐力壁配置/任意形状立体解析


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