構造設計・監理として携わったプロジェクトの建築構造、構造計画を紹介しています。
写真 Spain Pavilion, Expo Osaka 2025【鉄骨造/木造/CLTハイブリッド構造】
ヨーロッパ西端に位置するスペインは大航海時代に大西洋の海流に乗りアメリカ大陸に到達、文化交流および商業貿易などを経て世界的な繁栄を誇りました。
「La corriente de Kuroshio(黒潮の流れ)」を展示テーマとするスペインパビリオンは、日本とスペインのつながりを表す象徴として海と太陽を表現した建築計画です。
自然素材であり持続可能な木材を可能な限り建物に採用し、日本の法令に適合する耐震性能とすることはもとより、仮設建築物として解体することを前提とした構造計画とすることが求められました。
建築物の軽量化をはかり地盤への影響を最小化、大空間展示室とファサードは可能な限り木造部材で構成し、設計者と円滑なコミュニケーションをもってスピーディーに設計に取り組み、製作と施工を極力簡易化して施工可能なようにすること。
様々な条件はトレードオフの関係となることがありましたが、バランス感覚をもって構造設計に取り組みました。構造計画としては木造、CLT、鉄骨造を組み合わせたハイブリッド構造として、軽量化を図りながら構造性能を確保することでプロジェクトを実現しました。
併用構造であるため一貫計算構造解析ソフトウェアのみで評価するのが難しい架構です。建物全体を任意形状立体解析により評価するとともに、トラス梁、CLT耐力壁については部分解析モデルで構造性能を評価しました。
スペイン側意匠設計:Extudio, Enorme Studio / Smart & Green Design
日本側意匠設計:フランク・ラ・リヴィエレ・アーキテクツ/フロントオフィス
構造設計:楠本玄英構造設計事務所
延床面積:2960㎡
階数:3F
構造:木造/CLT/鉄骨造
構造計画上の特徴
軽量化と耐震性能向上に配慮したCLT耐力壁とCLT床/ファサードと大空間を構成する集成材柱と大断面集成材梁/ロングスパンを支持する集成材トラス/地盤への影響を最小化するフローティング基礎/工期短縮を実現する鉄骨ブレース造/鉄骨造とCLT耐力壁を接続する製作特注金物/任意立体解析による併用構造の評価/部分解析モデルによる応力評価
人生のための才能と創造性。
チェコパビリオンは現代的な技術と伝統的な技術を融合する計画でした。外観には芸術的なボヘミアン・クリスタルのガラスが用いられ、スパイラル状の回廊を覆っています。
スパイラル状の通路は入り口では狭く、登るほど広くなります。最大で約7mの跳ね出した床が特徴的で、その形態は人類の発展を表現しています。
地下1階、地上5階のパビリオンの主構造はCLT(Cross Laminated Timber)という木材を直交させながら積層接着させた部材です。
テンションリングによる大空間、CLT造による耐震化、鉄骨造を併用したオーバーハングスラブなど海外の設計者の意図をくみとり、日本の法令に適合するように構造設計を行いました。
日本側の構造エンジニアであるEngineer of Record(EOR)として弊社は協業しました。
海外製のCLTが法令に適合するように行政と協議を重ね、CLT部材と接合金物の構造耐力については有限要素解析により評価し、プロジェクトの実現に貢献しました。
意匠設計(チェコ):Apropos Architects
構造設計(チェコ):A2 Timber
意匠設計(日本):フランク・ラ・リヴィエレ・アーキテクツ/フロントオフィス
構造設計(日本):楠本玄英構造設計事務所
構造協力(日本):BSI
延床面積:約2500㎡
階数:5F/B1F
構造:CLT造/鉄骨造
構造計画上の特徴
軽量化と耐震性能向上に配慮したCLT造/大空間を構成する鉄骨テンションリング/鉄骨造を併用したCLTオーバーハングスラブ/地盤への影響を最小化するフローティング基礎/鉄骨造とCLT耐力壁を接続する海外製金物/任意立体解析による有機形態構造の評価
鉄筋コンクリートと木材で構成された地下1階地上2階建ての建築物です。
Rigid walls & Wooden roof シリーズでは壁式鉄筋コンクリート造の強さと軽量な木質構造屋根により耐震性に配慮しながら温かみのある空間を実現しました。
本計画では屋根の一部を木造とするとともに2階床の一部を木造とし、様々な空間で木材と鉄筋コンクリートの質感を感じることができる建築物としています。
壁式鉄筋コンクリートの壁は強度が高いため、鉄筋コンクリートの梁や床で接続することで力を伝えることができるようにします。本計画では、木の床を囲うように鉄筋コンクリートの庇・床・補強梁を配置する計画とし、常時の荷重や地震時の挙動を評価しています。
木造の柔らかさとコンクリートの硬さを生かす構造体。一貫計算構造解析ソフトウェアのみで評価するのが難しい架構であるため、部分解析モデルで力の伝達を評価しています。
意匠設計:井上洋介建築研究所
構造設計:楠本玄英構造設計事務所
延床面積:420㎡
階数:2F/B1F
構造:壁式RC造/木造
構造計画上の特徴
人の営みに配慮した併用構造/屋根・床軽量化による耐震性能向上/RC高耐力壁/異種構造を接合するディテール/一貫構造計算/部分解析モデルによる応力伝達評価/構造計算適合性判定
APÉRO VILLAGE
旧池尻中学校を活用して作られた複合施設、「HOME/WORK VILLAGE」にあるワインショップのワインラックについて構造強度のアドバイスをしました。
300種以上のワインを取り扱われワインを置くラックは什器でありインテリアです。
店舗の空間にあわせて計画されたスティールラック。棚同士を接続することで安定化をはかり、ラックの柱を天井まで接続することで地震時の揺れを低減する計画としています。
店舗の什器という手に触れる身近なものの構造についてアドバイス。エンドユーザーの日常を支えています。
意匠設計:鈴木将記建築設計事務所
構造協力:楠本玄英構造設計事務所
構造計画上の特徴
店舗什器の構造検討/耐震性に配慮した家具の計画
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